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2018年9月22日 (土)

白拍子 5

集団的自衛権の行使が可能となった安全保障関連法案が、衆参で可決された2015年ごろから、知識者の間で、イギリスの作家ジョージ・オーウェルの「1984年」作品が取り上げられ、「ついにオーウェルの1984年が訪れた」と語られるようになった。「1984年」は、さらに共謀罪法が可決された2017年には、現実化を帯び、小説の中のセリフを私たちは何度も耳にするようになる。「1984年」は、ウソのような未来の姿が、今、現実に起こりつつある「予言書」として、今でも多くの人に語られている。

 2016年のアメリカの大統領選挙でトランプが勝ったことが、信じられないと思う人々が多かった。まさかあんなただの金持ちが、と。しかし、ある一部のアメリカ人の中にはちゃんと心構えがあった。ついにアイン・ランドの「肩をすくめたアトラス」の時代がやってきたのだと。社会的善行思想が経済の衰退を引き起こすであろう、それを止めるのは、才能ある人々の「倫理をわきまえたエゴイズム」であると。1957年の出版以来、アメリカで年間15万部は売れているというロングセラーであり、「一般読者が選んだ20世紀の小説ベスト100 」の第1位でもあり、聖書についでアメリカ人が「人生でもっとも影響を受けた本」とも言われている。とすれば、「ある一部のアメリカ人」ではない。多くのアメリカ人がトランプの到来を予感していたことになる。「肩をすくめたアトラス」は、21世紀のアメリカを予言した20世紀の最大の予言書となってしまった。

 まさかと思う未来を予言する小説がある。

 時の権力者に真っ向からものが言える者の定義がある。それは、はるか古の時代から「預言者」であるということ。その預言のために、悲劇の運命を背負うのが預言者でもある。預言者であるがゆえに、先行きを考えたり、忖度する小賢しさを持ち合わせていない。預言がゆえに、告げなければならない宿命があるだけだ。そして白拍子は告げる「あなたの世はくだらない」と。日本の中では、巫女(シャーマン)、占い師と呼ばれるのかもしれない。しかしこのような能力を持つ人の言葉に、耳を傾ける権力志向者は未だに多い。

「あなたの世は滅びます」と歌い舞うことは間違いではない。これは予言ではなく、「盛者必衰のことわりをあらわす」のだから。

 

白拍子からの贈り物 
2018
923日(日)
17:00 open 18:00 start
演奏:桜井真樹子(白拍子)、藤木友美(龍笛)
前売り¥3,000 当日¥3,500 (和菓子と1ドリンク付き)
場所:chaabee 135-0032東京都江東区福住1丁目11-11
ご予約お問い合わせ:makiko _puti@mac.ocm 090-6034-7716(桜井)

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