« 2015年8月 | トップページ | 2017年2月 »

2015年10月22日 (木)

鳥のことば 2015

   ペルシャを代表する神秘主義(スーフィズム)詩人ファリード・アッタール(1140頃〜1221)の代表作「鳥のことば」。韻文による鳥たちの物語だ。

 ヤツガラシが鳥たちの前で、提案をする。

 「私たちには、王がいない。だから王を探しにいこう」

 「王は、人を導き、秩序も規則も立てて、社会を形成する力のある者だ」

 ヤツガラシは鳥たちを率いて旅に出た。旅の途中で、鳥たちは、自らの財宝を失う絶望、美しきものからの誘惑、迷路にはまり込む運命、竜巻に飲み込まれる恐怖と、旅からの脱落者はあとを絶たない。彼らの旅は、生涯に渡り、苦難に満ちたものだった。しかし、ついに王に面会したときに、そこにいた「王」は自分たちだった。鏡に映された自分たち、それが王。王は鳥たちのそのものの姿だった。

 この神秘主義詩人ファリード・アッタールは、12世紀後半にして、社会、国家を導くものは、一人の王ではなく、賢者の道を歩む、一人一人だと言っている。

 この一人、一人、「一」は「永遠」であり、「一の中のその一は完全な唯一である」というスーフィズムに基づいて。

 この思想は、仏教の華厳経の「一即一切、一切即一」という思想として、新羅の僧、審祥(?〜742)によって、奈良時代に日本にも伝えられた。

 今、立憲主義ということばが、改めて使われるようになった。これは、ひと、一人一人の智慧は「憲法」として、すべての上に立つ。その下で、政治が行われるということ。

 これは、西洋だ、東洋だと言うよりも、感動的な思想であると、国会のデモにひとりで参加しに行った私が、そこで多くのひとりひとりの人がやってきて集まっている姿をみて、お互いに直感したことだ。わたしたちが「鳥のことば」の鳥だった。

 今の政情の中で思うのは、人ひとりが、崇高なるものを、求めて歩むことを、勇気を失わず、諦めずに歩むことを、讃え、敬うという思いから、生まれた考え方が立憲主義であると。

 鳥たちの中には、その危険な旅に出ないものもいた。また途中で挫折したものもいた。最後まで、その道を歩むものは、多くはないのかもしれない。それは、今の国民ひとりひとりを思うときに、この鳥たちに、重なり映し出されるようにも思われる。 「鳥のことば」は、人が、真実を探し求めるには、険しい道が待っているとも言っている。

 今、わたしたちの国では、安全保障関連法案とも戦争法案とも呼ばれるものが、参議院本会議で、「悪夢のような」可決が行われた。私たちは、まだ、「立憲主義の終焉の訪れ」という旅の途中に訪れる恐怖にさらされている。さらに、真実のために旅を続けよう。

 そして「鳥のことば」的に言えば、その道にたどり着いた賢者、ひとり、ひとりの智慧を「憲法」として、すべての上に立てよう。それが、王、つまり「わたしたち」のいる国だ。政治をわたしたちのもとに取り戻そう。これは、決して遠い神秘の詩ではなく、今こそ鳴り響く、神秘の声である。

「鳥のことば」

ペルシャの詩人ファリード・アッタールの「鳥のことば」と「万葉集」の「鳥」

日時:10月24日(土)午後2時~3時

場所:白鶴美術館 658-0063神戸市東灘区水吉山手6-1-1

TEL: 078-851-6001

http://www.hakutsuru-museum.org/exhibition/

出演:桜井真樹子( 歌舞、パフォーマー)

料金:800円(大人)、500円(大学生、高校生)、250円(中学生、小学生)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2015年8月 | トップページ | 2017年2月 »