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2008年6月 7日 (土)

パレスチナの学生集会

6月2日(月)
 テルアビブ大学の正門前に、オレンジ色のTシャツを来た学生たちが、机を出してビラを配っている。見ると、あっ、ウードを持った、サズを持った人の写真が…。
「これ、今日、大学で聴けるんですか?」
「ええ、6時半から」
「行ってもいいんですか?」
「ええ。もちろん、私たちの文化に興味を持っているなら…」
「あ、行きます。ありがとうございます」
学生の着ているオレンジ色のTシャツにも、このビラの説明にも(A3のサイズで2枚分)にも英語はもちろん、ヘブライ語もいっさい書かれていない。
 アラビア語のわからないイスラエル人にとって、このビラはどこか「いぶかしげ」
 この集会の名前は、わからない。ホールに行くと、学生が演説している。アラビア語は、私には全くわからない。残念ながら何を言っているのかわからない。何かひとくされの文章が終わるごとに熱い拍手がおこる。みんな感動している。
 そのあとでパレスチアナ人代表の国会議員のひとりの演説。さほど学生たちは感動していないようだ。しかし、声がデカイ。それもだんだん熱が入ってから30分以上、早口でデカイ声でまくしたてている。しゃべっている間、上着を脱ぎ、袖をまくり…暑そうだ。演説が終わり、学生たちの拍手で終わった。

 日本人というか東洋人は私だけ。集会のホールに入って、座ってもとがめられない。
 「あの、何言っているのか、わかってるんですか?」
 「いえ、あの、わからないんです」
 「えっ?じゃぁ、つまんないでしょ?なぜ来たの?」
 「なんか、音楽家の演奏があると聴いて…」
 「ああ、もうすぐですよ、たぶん8時ぐらいから」
 しかし、実際に演説が終わったのは9時過ぎ。

 そして、写真にあったサズをもった人たちが出て来た。男性2人組の彼らは、最初に寸劇をやった。一幕目は、彼らがおじいさんとおばあさんになって、何かちょっと、世間からズレたようなことを言って、笑わせる。翁(おきな)と媼(おうな)、こういう文化って、どこにでもあるんですねぇ。そして、次は、パレスチナ人とガードマンのお笑い。ガードマンに要求されて、パレスチナ人がIDカードを見せたり、ボディチェックをしたり…日頃のストレスのたまる茶飯事を笑いに変える。学生たちは大笑い。これは、笑いの基本だと思った。
 これと似た感覚が自分の中でよみがえってきた。昔、大阪の在日朝鮮人の友達に連れられて、演説と寸劇と学生によるサムルノリを見に行ったことがある。そのときも、ある伝統的なお笑いの演劇をハングル語でやっていた。日本人の私にはわからない。でもそのハングル語に回りの人たちは、大笑い。そして、これらのテイストは、吉本新喜劇の「吉本劇場」の寸劇にもある。いわゆる「大阪ユーモア」とでも言おうか。
 私は、ひさびさに大阪お笑い演劇を見たような気分になった。内容はわからないが、私なりに、懐かしく、とても楽しい気分に浸っていた。
 そしてサズと歌。でも、これもお笑いをとる歌だった。1番2番とわかる歌の繰り返しで、どんどん笑いをとっていく。サズって、こういう風にも使われるんだ…。
 さて、トリは、ウードとダルブッカとバイオリン。ひさびさにマカーム(旋法)のちゃんと聴き分けられる気持ちのいい歌。バイオリンもマカームに合わせて演奏される。3曲目ほど、演奏されると、オレンジ色のTシャツを着た学生たちが、手拍子を取って歌い出す。すると、その歌のリクエストに答えて演奏家たちが、その曲を始める。そうすると、聴衆者たちも盛り上がって、スタンディング・オベイション。これが何度となく繰り返される。輪になってアカペラ(無伴奏)で歌う学生たち。またまた私の中でよみがえるものがあった。弱小阪神タイガースが久々に勝つと、誰ともなくフェンズの向こう側で、みんなが「六甲おろし」を歌い、手拍子をとり、見知らぬものもかまわず、みんなで手をとりあって狂喜乱舞する。あー、六甲おろしだ。久々に心が晴れて、久々に楽しい、これがパレスチナの学生集会なんだ。そしてさらに、手拍子をとり、浮かれて踊る学生たちをみて、神奈川の奄美大島県人会、宮古島人頭税廃絶記念日に島唄で踊り出す人々を思い出した。これらの、私の言い方は、私が今まで経験した中の、私の記憶の中で、似たような情感を思えばである。
 しかし、歌わずにはいられない、踊らずには、いられない。そうやって、歌い踊っている人々を見ていると心に熱いものがこみ上げてくる。そのことに変わりはない。

 演奏会、ではなく集会が終わると、「記念品をどうぞ」とあまった記念品をオレンジ色のTシャツを着た学生からもらった。「え、いいんですか?」「ええ、今日の記念に是非」

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コメント

おひさしぶりです!!! 先生!!!!
横山です。 私のブログからリンクさせて頂きました!
宜しくお願いいたします。
そして、次回のイベントは「古代ローマ時代」なんですが、先日その古代ローマ時代の曲を復曲されたCDを聞いているのですが、不思議な事に声明とそっくりです!!!そして、『月宴夜』の時の事を思い出しました。
不思議ですよね。。。。。
まずは事後報告リンク宜しくお願いいたします。

投稿: vruocculu | 2008年6月21日 (土) 19時43分

お久しぶりです。お元気ですか?私は、黒々と中近東の陽射しに焦がされている今日この頃です。元気です。
イスラエルにも古代ローマ時代の遺跡があります。
まず、ヘロデ王が建設した神殿。
そして、テルアビブ大学が発掘したテル・アビブの南ヤッフォの遺跡。そして私の住んでいる北、ケサリアも近年発掘された古代ローマ時代の市街地です。アコーの城。
イスラエルで声明とほぼ同じ世界観を持った朗唱は、サマリア人の朗唱ですね。
こちらでも何回か声明、白拍子、自分の作品の公演をしました。イスラエルの人は、「一瞬のうちに、まるでユダヤ教会の中にいるような空気に変わる」という感想を言ってくれます。心に通じるものがあるのでしょう。
横山さんの聴いた古代ローマ時代の復曲のCDは何ていうタイトルですか?今すぐにでも、もう一度古代ローマの遺跡に行って、聴きたい気分です。
また教えて下さい。お元気でね。

投稿: 桜井真樹子 | 2008年6月22日 (日) 05時23分

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