キブツ・キネレット
6月8日(日)
この日は、シャブオト(収穫祭)で、キブツ・キネレットに行った。
「キブツ」は、集団開拓、集団農業経営をする共同体。
「キネレット」は、ガリラヤ湖のこと。「キノール」がもとの単語で、「竪琴(たてごと)」という意味。地図でみると、ちょうどダビデの竪琴をさかさまにしたような形。
このキブツ・キネレットは、今年で95周年目にあたる。
最初にこの場所に、25人ぐらい来て、開拓をはじめた。何を植えようか?と思って、この中のひとりが、イラクに行き、なつめやしが育っているのをみて、これを植えようと苗を持って帰った。今では、なつめやしのドライフルーツは、イスラエル人にとって欠かせないもの。
独立戦争前、60年より前は、キネレット周辺に住んでいた人たち、お金を持っていた人たちは、年に1,2度、キネレットの北、レバノンのベイルートまで「お買い物」に行くのが、ひとつの楽しみだったそうだ。そこで、フランス製の洋服とか、食器、それから、日本の着物とか、九谷焼、伊万里焼の食器を買ってきた人がいる。ある家を訪ねた。その家の孫娘がおばあさんに「私が結婚したらこのカップ、私にちょうだいね」と約束をした古い九谷焼がある。
キブツが創設された当初は、食費も家賃も光熱費もランドリーも、共同シャワーも一切無償。だから「とにかく命だけイスラエルに持ってきてくれれば、決してお金は貯まらないけど、生きて行けます」という方針を掲げたので、世界中のユダヤの人々は、キブツに来て、共に働いた。親と子どもは別々に暮らす。夜、寝るときも親の家には帰らず、そのまま、「幼稚園合宿〜高校生合宿」が続く。50年前ぐらいから、親子で住むようになった。高校生になると、週に一度は、キブツの仕事を手伝う。そのときに、何の仕事に就くかを考える。農業、酪農、工場、その他いろいろ。
けれども、今は、その人の労働に応じて、キブツから月給が出て、すべては、お金を支払うシステム、いわゆる、一般的な社会とほぼ同じ経済のシステムで運営されている。現在の方針は、「働かざるもの食うべからず」
このキブツ・キネレットは、二人の女性アーティストを生み出した。
ナオミ・シェメルhttp://www.jewishvirtuallibrary.org/jsource/biography/shemer.html と、ラヘル。
ナオミ・シェメルは、「イスラエル唱歌」の作詞・作曲家とも言えようか。滝廉太郎と東くめをいっしょにしたような人。イスラエル人は、ナオミ・シェメルの歌を小学校で歌う。キブツ・キネレットの小学校の建物の壁には、ナオミ・シェメルの「アル・コール・エレ(すべてのものは)」の五線譜が書かれている。
ラヘルは、詩人。ヘブライ語の響きに魅了されてイスラエルに来て、ヘブライ語を修得したが、若くして結核で亡くなった。そういう意味では、23歳で肺結核で亡くなった瀧廉太郎と似ている。ナオミ・シェメルが大衆的路線だとすれば、ラヘルはもう少し、繊細かつ深いイスラエルの人々の心に響く詩を書いた人だろう。
シャブオット(収穫祭)のイベントは、夕方6時ごろから始まった。まず、収穫にあたって使っているトラクターなどの運搬機械の行進。それからステージ場で、幼稚園、小学校、大人たちの、日頃練習した踊りをご披露。頭に花輪をつけて、みんな大地に遊ぶ妖精に扮する。植物の実りを妖精たちと人々がと主に喜ぶ祝祭。「草花化身」である。
そして、実ったものをみんなの前でご披露。祭壇ができる。特に人気は、はちみつ。みんな寄ってたかって、なめている。キブツ・キネレットはハチミツの製造としても有名。特に、なつめやしの花で養蜂したハチミツは、代表的特産物。
そのあとは、プールサイドでみんな持ち寄って、いっしょにごはん。シャブオットの期間は、みんな乳製品を作って食べる。
儀礼と直会(なおらい)が、フランクに、堅苦しさなしに行われる。
歴史からいうと、キブツは、見ず知らずの人たちが、突然共同生活をするところだ。何代も前からお付き合いをしている古い町の人々ではない。ひとりひとりが、直ちに共同体の自治に参加している自覚を持つ必要がある。
私は、児童自立支援施設で14年間働いたが、雰囲気はまことに「施設」の感じがする。そこでも、「作業学習」という名のもとに生徒と一緒に農作業をして、とうもろこし、きゅうり、トマトの収穫期に合わせて、夏のお盆のころに「納涼会」が、催される。みんなでカレーやかき氷を食べ、スイカ割り、金魚すくいをして、花火大会で締めくくる。
次の日にキネレット(ガリラヤ湖)に行く。キネレットから南へヨルダン川となって流れる。その終着点が死海。
昔は週末に、泳ぎにくるのは、キブツ・キネレットの人たちだけだった。しかし、今は、ここ5,6年前からは、彼ら自身が、宿泊施設、キャンプ場を作って、観光地として経営を始めている。
キネレットの浜辺には、貝をたくさん見つけることができる。ユダヤ人は「コシェル」http://ja.wikipedia.org/wiki/カシュルート という食事の戒律を守っている人が多く、貝を食べる習慣はない。だから、あさり、しじみの天国。かれらは、石に巣作り、死ぬと、その石からはがれる。いわゆる「穴あき石」、平田篤胤のいうところの「石笛(いわぶえ)」が、大量にころがっている。
キネレットの岸辺には、キブツ・キネレットで亡くなった人たちのお墓がある。ナオミ・シェメルもラヘルの墓もある。
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コメント
横山です。CDのタイトルですが
MUSIC OF ANCIENT ROME SYNAULIA
vol.1 Wind Instruments
vol.2 String Instruments
です。
今現在、日本で聞ける音はこれしかありません。
他に、なにか古代ローマ時代の音を聞く方法は
ありますでしょうか?
投稿: vruocculu | 2008年6月24日 (火) 19時09分
ありがとうございます。テル・アビブのタワー・レコードに行ってみます。
古代ローマ時代の音、おそらく記譜はないので、なんらかのイマジネーションで、作曲家、演奏家が復元したものだと思います。たとえば、遺跡や遺跡に書かれていた絵、あるいは、書物からなど…。また調べて何かわかりましたらご連絡致します。今、しばらくお待ちください。
投稿: 桜井真樹子 | 2008年6月25日 (水) 06時51分